インターネットと情報流通

 インターネット普及によって、情報ソースが大きく変わりました。情報発信コストが大きく下がったことが主な要因です。
 今回はインターネットの利用について議論します。

インターネット社会のイメージ

1.インターネットで変化した状況

(1)企業のHP、SNS

 インターネットでの情報発信で基本になるのは、やはりHPです。開示すべき多くの情報を整理して掲載することができます。また、リアルタイムに更新でき、アクセス解析により閲覧状況を把握できます。この点は、国内のインターネット黎明期に、主要な構成機器の開発に携わっていた筆者にとって、実は感慨深いものがあります。
 また、SNSによって多くの方が情報発信に参加することができ、ほとんどコストをかけずにユーザとしての意見を表明することができます。企業としても、公式アカウントの運用を通じて、広報と意見収集に活用できます。

(2) インターネット広告

 企業が新規顧客を獲得するために有効な手段である”広告”ですが、TV・新聞など主要4媒体の広告費をインターネット広告費が上回っています。(下図)
 インターネット広告では、検索キーワードやユーザの属性(性別、年齢など)に応じた表示が可能で、より効果的な発信ができます。料金は、クリックされるごとに課金されるものが代表的で、クリックに応じて予め準備している特設ページ(いわゆる、ランディングページ)に移動する仕組みが一般的です。
 従って、HP同様、興味をもってもらうためのキーワードの選定が重要です。

メディア別広告費の推移 
※(出典)電通「Knowledge & Data 2022年 日本の広告費」を基に作成

(3) メディア

 地上波をはじめとするTV番組の視聴状況も変わってきました。インターネットが広帯域となり動画配信が容易となったため、その多様性とスマホ操作による使い勝手の良さも加わり、若い方を中心に視聴時間がネット配信(NetflixやYoutubeなど)に移っています。(下図)
 これは、新聞も同様で、大手新聞の発行部数は1年で6.6%減少、ピーク時の1997年より40%も減少しています。ニュースは、インターネットの情報ソースの方が早く便利に利用できるからと想像できます。
 筆者も、TVの視聴時間よりインターネットのそれが上回っていますし、紙の新聞は購読していません。

令和2年度 平日の主なメディアの平均利用時間
 ※(出典)総務省 「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に 関する調査報告書」

2. 事業における問題と対策

 企業活動でも活用が進むインターネットを利用する上で、問題となっていることを2つ紹介します。

(1)偽のサイト

 自社のHPを運用する際、住所や連絡先を掲載することは一般的ですが、悪意をもったサイトに転載されてしまうことがあります。例えば、偽のECサイトに掲載されてしまえば、「送金したが商品が届かない」といった苦情が自社に届くことになりかねません。
 この場合、サイトを提供しているプロバイダに「削除要求」を行い、自社のHPなどで注意喚起するしかなく、サイトが海外であった場合は国内法が及びませんので確実な取り締まりは困難です。

(2)詐欺メール

 正しい内容を偽装した、いわゆるフィッシングメールは後を絶ちません。特に、しだいに巧妙化しており見分けがつきにくくなっているばかりか、一度メールが届くといくつも送付されてきます。
 筆者が受信した最近のフィッシングメールはマイナンバーのポイントに関するもので、案内の文面は正規のものとほぼ変わらず、リンク先と送信元メールアドレスしか判別できないものでした。
 企業内の対策としては、怪しいメールは相応に注意し、むやみにクリックしないなどの社内教育を施すなどの人的な対策が考えられます。

3.まとめ

 今回は、インターネットと情報流通について議論しました。
 インターネットの浸透により、中小企業でも情報の発信・入手がしやすくなったことは大きな進展ですが、手放しで活用できる訳ではありません。具体的には、HPにサーバ証明書が設定されていなかったり、情報の発信・利用に関する社内規定を定めていなかったりと、不適切な運用に止まっているケースも少なくありません。
 それを理解した上で、相応の対策を採りつつ、事業にインターネットを十分活用されることをお勧めします。

 当事務所の代表は、インターネット技術について研究者・技術者として多くの経験があり、かつ中手企業の支援経験も豊富で、本分野で一連の支援が可能です。

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