中小企業のプロジェクトマネジメント
中小企業のハンズオン支援を行う中で、プロジェクトマネジメントの重要性を感じています。
今回は、中小企業におけるプロジェクトマネジメントについて議論します。
1.プロジェクトマネジメントとは
(1) プロジェクトマネジメントの定義
プロジェクト(PJ)とは、特定の目的を達成するために実施する業務や計画のことで、明確な期限が定められているものです。
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功に導くために、人的リソースや品質・コスト・納期(QCD)などを総合的に管理することです。
具体的には、①プロジェクトの目標設定と計画立案、②必要な人材・予算・資源の確保と配分、③タスクの洗い出しとスケジュール管理、④進捗状況の把握と管理、⑤リスク管理、⑥ステークホルダとのコミュニケーション、⑦品質管理、⑧予算管理の活動が含まれます。
要は、プロジェクトを無事に成功させることです。
(2) プロジェクトマネジメントの技法
プロジェクトマネジメント技法のデファクトスタンダードは、PMI(Project Management Institute:PM協会) が発行しているPMBOK (Project Management Body Of Knowledge、日本語版も販売されている)に記載されており、建設業やIT開発等で多くの項目が適用されています。
プロジェクトを推進するのはプロジェクトマネージャ(PM)やプロジェクトリーダ(PL)、プロジェクトメンバです。中でも、PMはステークホルダとの調整の上、プロジェクトの実行責任を負いますので相当な負荷がかかる場合が多いです。
PMに必要な知識・スキルを認定する資格としては、PMIの「PMP」や情報処理技術者試験の「プロジェクトマネージャ」があります。
2.実際のプロジェクトマネジメント
(1) プロジェクトの大小とマネジメント例
マネジメントすべきプロジェクトは、大小様々です。自身の経験では、大きなものは数100拠点n及ぶ大規模情報ネットワークの構築PJ、小さなものでは資格試験の受験PJがあります。
大規模情報ネットワークの構築PJでは、1年余りの計画をWBS(Work Breakdown Structure)にて数100項目に細分化して、それぞれ工数を割り当て従業員のローディングコストから予算を見積り、EVM(Earned Value Management、計画予算・出来高・実行コストで管理する手法)を用いて進捗管理していました。いくつかのプロジェクト経験を経てのことですが、品質・コスト・納期を確保する上で有効なマネジメント手法だったと自負しています。
最近の資格試験受験PJでは、参考書や問題集等の項目について、受験までの数カ月間・日ごとの学習スケジュールをガントチャートにて作成し、実施に合わせて更新してゆきました。この手法は、情報処理技術者試験や個人情報保護士、簿記2級など、多くの資格試験で適用しました。
(2)中小企業のプロジェクトマネジメント
中小企業であっても、一定規模のプロジェクトにプロジェクトマネジメントは必須です。例えば、基幹システムや情報ネットワーク等のITシステム構築や新たなサービス開発など、機会はそう多くないかも知れませんが、規模と重要度に応じて相応の管理が求められます。
しかし、PM資格を保有している従業員が在席しているとは限らず、管理経験が十分ないままプロジェクトを実施する立場に置かれることも多いと考えられます。その場合、具体的に先ず行うのは詳細な作業毎の担当者・スケジュールの割り当てと管理表の準備です(下図)。そして、キックオフにてプロジェクトメンバに周知し、意識合わせしてスタートします。
十分な計画を行わずに作業を開始して、品質・コスト・納期を確保できなかった事例は数多く見てきました。管理のために多くの工数を割くことは、一見、無駄なように思えるかも知れませんが、決してそのようなことはありません。
3.まとめ
プロジェクトマネジメントについて正しい管理スキルを有している方は意外に少ないようです。
例えば、中小企業のハンズオン支援を行うコーディネータを担当していますが、他のコーディネータは十分ご存知ないようでしたし、支援メニューで「プロジェクトマネージャ」の機能を軽々に謳っている公的支援サイトも見かけます。
プロジェクトの成否はマネジメントに大きく左右されますので、中小企業の経営者は良く意識することをおすすめします。
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