創業計画の策定
経営相談を受けた多くの方々に「事業計画を策定してみては」と助言しています。
そう言いながら自身で実施していないのはやや無責任でもありますので、担当している創業塾での参考提示を目的に、カフェ創業を仮定した事業計画を策定し、毎年、更新しています。
今回は、事業計画の策定について示します。
1.事業計画の分類と策定している創業計画
事業計画といっても目的や内容によって様々です。
企業に勤めていた際に最も目に触れていた”中期計画”(通称:中計)は、事業部の3年間の計画で、それを基に部・課や担当レベルまで予算を割り振っていました。もちろん、その通りにはゆきませんが、目標値に対して評価の根拠となっていました。
中小企業支援で金融機関を通じてよく聞くのは”経営改善計画”です。これは、金融支援を伴う本格的な経営改善の取組が必要な中小企業・小規模事業者が策定する事業計画です。私も支援したことがありますが、相応に大変な策定作業になります。
私が毎年更新している”創業計画”は、創業から3年程度の、事業が軌道に乗るまでの計画です。赤字経営など負の要素がない代わりに、まとまったリソース(人・モノ・金・情報)を確保しにくいのが特徴です。つまり、自身の強み・弱みに真摯に向き合い、冷静な判断が必要です。
他の分類として、補助金の申請に応じて策定するものや環境変化に応じて自ら整理するための計画も考えられますが、後者は事務所の方針・予算を検討する際に、簡易ではありますが毎年行っています。
2. 創業計画の策定
(1) 環境分析と経営戦略の策定
創業計画では、先ず、経営理念やビジョンを基に、経営戦略(誰に、何を、どのように)を策定しています。
その際、重要なのは事業環境の分析で、外部環境(自身では受け入れるしかない環境:機会・脅威)・内部環境(自身の強み・弱み)を十分理解することです。外部環境では業界動向などのマクロ環境と出店しようとしている地域のミクロ環境を調査・分析し、内部環境では自身のスキルや経験が活かされて事業を優位に進められることが大切です。
経営戦略が固まったら、ターゲット(誰に)の細分化や周辺地域におけるポジションなどを検討し、重要成功要因を3つ程度挙げておきます。
(2) マーケティングミックスの策定と数値計画
経営戦略が定まったら、提供する主要な商品・サービスについて4つの要素(マーケティングミックス:製品・価格・販路・販売促進)を決めてゆきます。そして、事業用不動産の選定やスケジュールなど、計画を詳細化してゆきます。
次に、投資や損益などの数値計画です。投資では、店舗改修や厨房設備、POSレジ、ホームページなどの費用を見込みます。損益は、商品・サービスの販売が収入、原材料費・家賃・人件費・減価償却費などを費用として利益がどの程度になるかを計算します。
十分な利益が見込めない開業当初は赤字かも知れませんが、軌道に乗った際には安定した損益が得られる計画である必要があります。実は、私の創業計画も当初は採算が合わず、珈琲豆の販売など売上を維持・拡大する工夫をいくつも取り入れて、初めて十分な損益が見込まれるようになりました。
(3) 現地視察
計画策定で店舗やサービスのイメージがある程度明確になったところで、創業を仮定している地域を実際に歩き、競合する店舗などの環境をチェックします。
今年も現地を視察してきましたが、駅前のカフェが閉店し、昨年開店準備中であったウッディな店舗が開店していました。
実際に歩くと場所の雰囲気が分かりますし、周囲をよく観察する機会は設けておくべきでしょう。
3.まとめ
計画を詳細化してゆくと矛盾が生じたり、思うような売上が期待できないことが分かったりします。それらに応じて、販売促進や生産性向上の対策を加えて無理のない事業計画とし、創業前の画の段階で可能な限りリスクを排除しておくことをお勧めします。
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