中小企業のIT人材

中小企業のIT活用支援に対応していて、よく思うことがあります。それは「人材の重要性」です。
今回は、中小企業のIT人材について、まとめます。

1.IT人材の必要性

(1)容易には解決できない”人材”

 自社で「IT活用を進めたいので支援して欲しい」という要望は多くあります。それには、業務プロセスを整理し、業務プロセス改善と合わせてシステムの選定を行うのが一般的ですので、それを推奨・支援します。
 ところが、「そのような人材はいない」「そんな手間はかけられない」として、早い段階で壁にあたってしまう企業も少なくありません。必要なリソース(ヒト、モノ、カネ、情報)のうち、特に、一朝一夕に解決できないのは”人材”です。

(2)企業のIT人材確保状況

 日本企業のIT活用で後れをとっている要因の1つは、自社のシステムをシステムベンダに早い段階で任せてしまい、自社に適した業務プロセスの最適化を十分検討してこなかったことです。その結果、社内に業務プロセスやシステムの適用状況を把握・検討できる人材が育っていないものと考えられます。(下図)

(3)”IT人材不足”が顕在化するタイミング

 業務システムが老朽化し、次期システムの導入を検討する際に、自社の業務プロセスを踏まえて最適なシステムを検討する必要が生じます。クラウドシステムが普及する状況下で、これまでの業務プロセス全てを実現する機能について、システムベンダにカスタマイズを依頼するのは必ずしも最適とは限りません。つまり、業務プロセスを十分理解し、技術動向に沿った、最適な業務プロセス・システムを検討するには、社内人材が不可欠なのです。(下図)

2.どのような人材が必要か

 自社に必要なIT人材とは、どんな人材か。仮に、最適な業務システムを導入・管理・運営する人材とすれば、下表の様な能力が求められます。
 一般に、IT人材というと、プログラミングを思い浮かべてしまうかも知れませんが、実際の役割は、自社の業務プロセスを正しく把握し、システム動向を踏まえてベンダと交渉・システムを導入、そして社内に定着させることです。

業務分析能力受注から出荷、会計など、社内の業務を正しく把握する能力
システム理解力ITツールの機能を正しく理解し、適したシステムを選定する能力
システム管理能力システムを確実に運用し、継続的に改善を図ってゆく能力
図表 IT人材に必要な能力

3.人材の確保

 人材の確保方法には、大きく、新規採用・リスキリングがあります。
 国内の優秀なIT人材は慢性的に不足していますが、年功序列の給与体系を採る国内企業の待遇は、海外の先進国に比べて必ずしも良くありません。つまり、優秀なIT人材を新規採用して定着させるのは意外に難しいかも知れません。
 また、今後新たに発生する業種や職種に順応するための知識やスキルを習得することを目的に人材の再教育や再開発をする取り組み、つまり、リスキリングによって対応することもない訳ではありません。しかし、十分なスキルが身につくまでには、ある程度時間を要することが予想されます。

4.まとめ

 自社のIT活用を適切に進めるには、自社で主体的に進める以外にありません。
 もし、これまでシステムベンダ任せきりで、社内に人材が育っていないとすれば、そこから向き合う必要があるかも知れません。

ご興味のある方は、こちらからお願いします。

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