イベント運営システムの構築

 オンラインイベントが増えていますが、私が参加している団体のあるイベントでも会場開催からオンラインに移行しています。
 今回は、そのイベント運営の仕組みを、汎用ITツールを組み合わせて構築し、滞りなく運用できましたので紹介します。

Web会議イメージ

1.イベント内容と要求仕様

 今回とりあげるのは、企業支援を行う案件と参加希望者のマッチングイベントです。案件は10程度、参加者は100名程度、運営側は団体所属の会員から6名が幹事として中心的に運営します。予算は、必要であれば会場費・印刷費などは団体で負担できますが、他は特にありません。つまり、非常に限られたリソースでの運営が原則です。
 主な要件は、「案件情報をとりまとめ、適切に参加者に提供する」「定員内で希望者から参加者を決定する」は勿論のこと、「参加者選定の臨場感が得られる」「必要なセキュリティを確保する」ことが挙げられます。

2.仕組み構築

要件を満たすために構築した仕組みを会場開催のそれと対応付けたのが下表です。

会場開催Web開催(今回)
案件申し込みメール
参加者申し込み団体Webサイト
案件説明資料受付メール添付kintone
案件説明会場にてプレゼンYoutube、Googleドライブ
質疑応答プレゼン時に挙手して質問Zoomブレイクアウトルームにて
案件に応募会場にて紙に記載・提出Zoomブレイクアウトルームにて
案件参加者選考・発表会場にて紙に記載、転記して集計、表示Zoomブレイクアウトルームにて選考・入力・共有
集計一覧表を作成Googleスプレッドシートにて自動集計
会場開催とWeb開催の仕組み比較

(1)案件情報の収集・提供

 案件の説明資料は、PDFと動画を提出してもらい、団体が管理するアカウントで限定公開することにしました。
 資料の収集は、一定の基準を満たすことを確認するため順次、指摘・確認する仕組みを設け、かつ、大容量ファイルを本人とスタッフのみが閲覧できる要件が求められたため、団体で用いているグループウェアを活用しました。
 公開は、PDF:Googleドライブ、動画:Youtube にて、それぞれ限定公開としました。

(2)マッチング

 マッチングには、広く普及しているオンライン会議システムを用いました。
 案件ごとのブレイクアウトルームを設け、事前に案件情報を参照している参加者が自発的に移動して質疑応答の機会をつくりました。参加者の選考も同じブレイクアウトルームで行い、決定した方々は解散してもらいます。

(3)集計

 各ブレイクアウトルームで決定した参加者を、Googleスプレッドシートに記入してもらい、リアルタイム自動集計ができるようにしました。
 紙による提出や表計算ソフトへの転記が不要、集計ミスもほぼ無くなり、大幅な効率化ができました。

3.オペレーション

 運用は、幹事が会議室に集まり、分担してイベント運用にあたりました。オンライン会議の操作だけでなく、全体説明や問い合わせ対応を考えると妥当な形態でした。
 結果として、前述した仕組みもあり円滑に運用できました。
 もちろん、細かな点で不測の事態も発生しましたが、それぞれ適切に対応しました。例えば、案件情報の提出期日を守らない方や、オンライン会議への参加時に表示名を正しく変更していない方などは個別に対応しています。
 逆に、選考結果を一元管理かつ一覧にできたことで、報告された結果が誤っていることが発覚し、その場で解決することができました。

4.まとめ

 今回は、一連の業務プロセスについて、汎用ITツールを組み合わせて仕組みを構築した例について紹介しました。一見、容易に構築できたように思えるかも知れませんが、実際には数回の同イベントにて段階的にオンライン化を進めており、試行錯誤と議論を繰り返して今回の仕組みとしています。
 もし、安易に専用の「マッチング会運用管理システム」を作成していたなら、相当な初期費用・保守費用が発生し、柔軟性に欠ける仕組みとなっていたに違いありません。
 もちろん相応のスキルや手間は必要ですが、運営側自らが構築したからこそ、低コストで使い勝手の良い仕組みができたと考えています。

当事務所では、DXに取り組む中小企業を支援しています。
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